剥落防止工法

外壁のタイルやモルタル仕上げは、経年劣化・地震・気温変化などにより、浮きや剥がれが発生することがあります。こうした劣化を放置すると、外壁材が落下し、通行人への事故や建物の資産価値の低下につながる危険性も。そのため、河名工業では外壁の状態に応じて、適切な剥落防止工法を使い分け、安全性と美観の両立を図っています。

  • アンカーピンニング工法(点補強)

• タイルやモルタルの浮いている部分に穴を開け、エポキシ樹脂を注入したうえでアンカーを固定し、内部から外壁材を押さえつける工法です。
• 表面仕上げをほとんど傷つけずに施工可能で、意匠性を保ちながら安全性を高められるのが特徴です。
• 比較的劣化範囲が狭く、タイルの見た目を残したい建物に最適です。

  • アンカー+ネット併用型補強工法(点と面の複合補強)

• 浮きが多い外壁に対して、アンカーで内部から補強し、表面には樹脂含浸ネットを貼り付けて面でも押さえる、ハイブリッド型の剥落防止工法です。
• 点と面の両方で構造的に補強されるため、高い安全性と耐久性が期待できます。
• タイルを残しながら、より広範囲な劣化に対応したい場合に適しています。

  • 全面ネット貼り型補強工法(面補強)

• 外壁全体に劣化が広がっている場合は、仕上げ材の上から補強ネットを貼り付け、専用樹脂で一体化させて剥落を防ぐ方法が有効です。
• 最後に塗装仕上げを行うことで、外観の一新と安全対策を同時に実現できます。
• 大規模な建物や工場、老朽化の進んだ建物に適しており、工期やコストを抑えながら広範囲を補強できます。

剥落防止工法が必要となる主な部位(コンクリート構造物)

剥落防止工法は、建物の外壁だけでなく、構造部や設備まわりなど多様な部位に適用可能です。以下は、実際に多くの施設で適用される代表的な箇所です。

  •  外壁タイル・モルタル仕上げ部

• 経年劣化により、浮きや剥がれが発生しやすい部位です。
• 日射や風雨の影響を受けやすく、美観と安全性の両立が求められます。

  •  開口部まわり(窓・扉の周囲)

• 地震や温度変化により、ひび割れや浮きが集中しやすい部分です。
• 雨水の浸入が重なることで劣化が進行しやすく、漏水対策と併せた補修が必要です。

  •  建物の角・端部(出隅・入隅)

• 構造上、応力が集中しやすく剥落のリスクが高い部位です。
• 劣化が進んでも見落とされやすいため、定期的な点検と補修が重要です。

  •  高所外壁・庇下・曲面壁(アール壁)

• 人目につきにくく、落下事故のリスクが高い場所です。
• 足場が必要な高所では、剥落防止と長期保全を見据えた施工が求められます。

  •  プラント・工場の設備基礎・配管周辺

• 熱・振動など、特殊環境の影響を受けやすい箇所です。
• 部分補修や耐久性の高い工法の適用が有効です。

  •  軒天井・アーチ天井などの水平面

• 剥落の危険が人の真上に直接影響する部位であり、早期の対応が必須です。
• 接着剤の劣化や湿気・荷重によって、意外と見落とされやすいリスク箇所です。