鉄筋コンクリート造の建物は、コンクリート内部の鉄筋によって強度を保っています。しかし、経年劣化によりひび割れから水分が入り込み、鉄筋が錆びて膨張すると、周囲のコンクリートが押し出され、剥がれ落ちる「爆裂(ばくれつ)」が起こることがあります。このまま放置すると、コンクリートの剥落、雨水の浸入による漏水、•構造耐力の低下といったリスクにつながります。爆裂欠損補修工法は、このようなリスクを防ぐために行う補修方法です。欠損した部分のコンクリートと鉄筋の錆を取り除き、防錆処理をした後にモルタル等で補修します。
爆裂欠損補修工法の適正箇所
特に人や車両の通行、機械設備の稼働がある施設では、早期の点検・補修対応が重要です。
【主な適正箇所】
- 外壁・柱・梁などの鉄筋コンクリート構造部 風雨・日射・振動などの影響で劣化が進行しやすく、落下物による事故の危険性があります。
- 屋上スラブ・バルコニー・庇(ひさし)などの水平面・突き出し部 雨水や温度変化により爆裂・欠損が発生しやすく、剥落時の落下範囲が広がる恐れがあります。
- 開口部まわり(窓・扉・シャッター周囲)ひび割れや漏水の起点となりやすく、放置すると構造的な脆弱性につながる箇所です。
- 出隅・端部・梁下など構造的負荷のかかる箇所 剥離・爆裂が進行しやすく、床面や通行人への落下リスクが高まります。
- 階段・通路・高架連絡橋・エントランス周辺 人の往来が多く、万一の剥落が重大事故につながる可能性があります。
- 床面・機械基礎・ピットまわり(特に工場・プラント) 油・水・熱・振動の影響を受けやすく、稼働機器や作業者の安全を脅かす要因となります。
- 地下構造・受水槽・排水処理設備まわり 湿気や地下水により鉄筋腐食が見えない部分で進行しやすく、表面化した時には広範囲に劣化が及んでいるケースもあります。
これらの部位でひび割れ・浮き・欠損などの症状が見られた場合は、早期に調査・補修を行うことで、事故や大規模修繕を未然に防ぐことができます。定期点検と適切なメンテナンスにより、施設の安全性・耐久性を長期的に確保しましょう。